住民投票を力にする会声明

 

米軍再編の閣議決定に抗議し、撤回を求める声明

 本日(5月30日)、政府は、「在日米軍の兵力見直し等に関する政府の取り組みについて」を閣議決定しました。「住民投票を力にする会」は、このことに対し強い憤りと抗議の意を表明し、以下の理由により撤回を求めます。また、撤回を求めている岩国市長を激励するとともに、市民との共同をいっそう強め、さらに全国各地の米軍再編計画反対の自治体・住民の運動との連帯を強めて、最後まで運動を進めていく決意を表明します。

  一、厚木基地からの空母艦載機の岩国基地への移駐に対しては、3月12日の旧岩国市の住民投票で旧岩国市民の過半数が反対を表明し、4月23日の合併後の岩国市長選挙においても、移駐案の撤回を求めることを公約した井原市長を圧勝させることによって、旧町村住民も含めた岩国市民は反対意思を明確に示しました。しかし、政府はこの市民の意思をまったく無視して閣議決定を強行しました。国民主権・地方自治という民主主義の大原則をじゆうりんする許しがたい暴挙です。

 一、「本土においても施設・区域の周辺で市街化が進み、住民の生活環境や地域振興に大きな影響を及ぼしている」とし、「幅広い国民の理解と協力を得て今後とも施設・区域の安定的な使用を確保し、日米安全保障体制を維持・発展させるためには、抑止力を維持しつつ地元の負担を軽減することが重要である」としていますが、そもそも「米軍再編」は、日本の安全保障や日本国民の負担軽減のために行われるものではありません。 そして、岩国市民の「生活環境や地域振興」への「大きな影響」については一顧だにせず、「負担軽減」はいっさいないどころか、「負担」を一方的に増やすものとなっています。艦載機部隊が移駐してくれば、所属機数においてアジア最大級の基地となり、米軍関係者の人口は 1万人近くになる。これによって、岩国市の様相は大きく変化し、爆音・事故・犯罪など市民に計り知れない基地被害をもたらし、その生命と生活を破壊する危険性が一段と強まることは必至です。

 一、「地方公共団体において新たな負担を伴うものについては、かかる負担を担う地方公共団体の要望に配慮し、我が国の平和と安全への大きな貢献にこたえるよう、地域振興策等の措置を実施するものとする」としているが、平和でゆたかなまちづくり、安心・安全の市民生活を保障する手だてを講じることこそ最も基本的な地域振興策であり、米軍基地の大増強と引き替えに講じる振興策などそもそもあり得ません。「基地との共存」と言ってこれまでさまざまな基地被害にも我慢をしてきた市民の圧倒的多数が先の住民投要や市長選挙で「もうこれ以上我慢できない」という意志を示したのであり、もはや、いかなる「地域振興策」をちらつかせても市民は騙されません。財政難が重要な国政問題になっているいま、このような軍事基地強化がらみの膨大な財政支出をすべきではありません。ほんとうに民生向上のための歳出こそ求められています。

 以上のような理由から、このたびの閣議決定を撤回されるよう重ねて要求し、「声明」とします。
  2006年5月30日
 住民投票を力にする会

    会長 吉岡光則


 在日米軍再編最終報告について

 5月1日、日米「安全保障協議委員会」が行われ在日米軍基地再編に関する合意文書を発表しました。岩国基地に関するものは、@厚木基地から59機の艦載機を2014年までに移転する。A海軍と海兵隊の共同運用を行う。KC-130空中給油機部隊と家族を岩国に移転する。などです。
 さらに、重大なのは訓練施設を2009年7月までに選定することがあげられています。
 自衛隊部隊の一部を厚木へ移転させ、CH-53D大型ヘリ部隊を沖縄部隊がグァムに移転するときにグァムに移転させる事ももりこまれています。
 この計画が実施されれば兵員、軍属、家族を含めると数千人規模となり、航空機もジェット戦闘機を中心に合計130機を超えるものとなり、沖縄・嘉手納基地を上回る世界最大規模の軍事基地となります。
 私たち岩国市民は空母艦載機の受け入れの賛否を問う3月の住民投票で、はっきりと受け入れに反対の意思表示を行いました。さらに4月23日投票で行われた市長選は、受け入れ反対を主張した井原勝介氏が圧勝し、旧玖珂郡の住民も艦載機受け入れに反対と言う意思表示をしたものとして重要な意味を持っています。
 日米政府がこうした地域住民の意思を尊重することなく、米軍再編について、中間報告よりもさらに多くの負担を、岩国市民に押し付ける内容を含んだ最終合意を行ったことに大きな怒りを表すものです。
 しかも、一連の米軍再編のなかで岩国基地関連がもっとも大きな改変という結果になっていることも重大です。
 岩国市民は戦後60年基地による騒音被害、犯罪、事故などに悩まされ続けてきました。これ以上の基地機能の拡大・強化や被害の増大が予想されるような事はお断りしたいというのが、住民投票、市長選挙に示された市民の意思です。
 住民投票と市長選挙を通じて、岩国市民は大きく変わりました。言うべきことをキチンと主張すればそれが世論となって、世の中を動かすことが出来るという確信が生まれています。
 私たちは住民投票で「受け入れ反対に○をする会」として、賛成の人も、反対の人も投票に行こうと運動してきました。この流れを「住民投票を力にする会」に改変し運動を継続しています。
 今回の最終報告に「力にする会」として改めて大きな怒りを表明し、今後とも市民のみなさんと力をあわせ、厚木基地の岩国移転反対、NLPの岩国(周辺含め)実施反対の運動を粘り強く進めていきます。新市長の「移転反対」「実施反対」を最後まで後押しする決意を述べ声明とします。
 2006年5月2日

住民投票を力にする会
代表 吉岡光則


 

 

 
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